私には娘が生まれる前からピアノを習わせたいという夢がありました。
私のような何も知らない一般庶民の親の考える事といえば、もしかしたら将来才能が花開いてプロのピアニストになって海外遠征〜なんて甘い夢が頭の片隅をかけらよぎるかもしれません。(小さい子どもには無限の可能性があると信じたくなるかもしれません)しかし、あるテレビ番組をみてその夢は絶対に叶うことのない夢である事を思い知らされることになりました。
日本を代表するプロピアニストの清塚信也さんは5才の頃からピアノを始め桐朋学園大学を卒業しています。
楽器で音大へ入るには基本6才以下で始めていないとほぼ入れないらしいです。
音大の入試はといえば・・
1.実技・・最重要
2.ソルフュージュ(弾かれたメロディーを楽譜に書き取る)
3.新規視唱(その場ではじめて20秒ほど楽譜をみて歌う)
4.楽典(音楽理論)
5.一般学科 国語と英語(中学レベル 超簡単)
6.副科ピアノ(ピアノ、チェンバ専攻生以外が受けるピアノの試験)
作曲科になると1日8時間で曲を完成させる試験を2日間、他に小論文(音楽とは何か?・・ect・・)など一般人からすれば難関の狭き門です。
しかし、本当の問題はここからです。
中・高の頃から行きたい学校の先生にお金を払って個人レッスンを受ける必要があります。
先生にはいろんな人の紹介、推薦でなんとかたどり着き、レッスンを受ける。
これが高くて月々5万〜10万円 (1回30分とか1時間です)
先生にも、小学生を教えるのが得意な先生、中学生、プロを教えるのが得意な先生と自分のレベルに応じてどの先生に就くかが大事です。いい先生になると自分のところではだいたい習ったので次はああいう先生はどうだ?なんて指示もしてくれるらしいです。
音大までの費用ですが、
音大付属中学学費 約300万円
音大付属高校学費 約350万円
音大学費 約1000万円
ピアノ購入費 約300万円
調律費 15000円×年2回×10年 約30万円
個人レッスン料 月4万円×12年 約600万円
と少なくても約2500万円くらいかかります。
ピアノだとまだ費用が少ない方でヴァイオリンになると学生レベルで500万〜1000万円の楽器、弓がこれまた学生レベルのもので1本200万〜300万円と莫大な費用になります。
入学してからの授業は、ソルフュージュ、音楽史、音楽理論が必須で一番大切なのがレッスン。
それを中心に他の授業の日程を決めます。それ以外にも練習時間が1日8時間程度とかなり過酷です。
そこまでしても、プロのピアニストや音楽で食べていける人はひと握りで卒業後の進路はというと、一般への就職や音楽ホールの受付、警視庁の音楽隊(公務員)と税金の無駄使い的な・・いやそれほど稼げる訳でもなく・・
ここに書いたのは東京芸術大学や桐朋学園大学などの一流音楽大学での話です。
いくら才能があって努力してもお金がないと絶対に無理な世界なんですね。子供に夢を持たせるだけ持たせてけしかけておいて後になって親が現実を知るなんて事にならないように今からこういう事情を知っておくのは大切だと思います。
ちなみに、絶対音感というのは後天的につくもので音楽浸けの環境で小さいうちから育つうちについていくものらしいです。また、この話はクラシックに限ったことではなくTVで流れるJPOPなどもしっかりとした音楽理論を土台に作られています。一般人がピアノを習って役にたつといえば将来保母さんを目指している(給料は安いらしい)とか、すばらしい歌の才能がありそれをより活かせる(声楽だけはやはり持って生まれた才能らしい)事くらいでしょうか?(もちろん心の・・とか、モテるとかは別として身になる話です)
なんとなく悲観的な文章になってしまいましたが、私は音楽大好きです。音楽で人を感動させられる事ほどすばらしいことはないと思っています。しかし、自分の子供がもし音楽の世界へ本気で足を向けようとしているならばどの楽器をやるにせよまず歌がかなりうまくないとむやみに夢を持たせるのは避けたいと思います。
あっ・・今回は購入の話じゃなかったですが・・
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