
動画を長期保存するとき、どのコーデックで圧縮するか迷ったことはありませんか?特に長編映画やアニメのように容量が大きい動画だと、画質・容量・エンコード時間のバランスが重要です。私はWindows環境+RTX3070で、H.265(HEVC)とAV1の両方を実際に試し、どちらが効率的かを検証しました。この記事では、その体験をもとに「速さと画質の両立」「長編動画保存の最適解」を技術寄りにまとめています。
AV1とH.265の基本比較
- H.265(HEVC)
- H.264より圧縮効率が高く、ファイルサイズを大幅に削減可能。
- デバイス互換性が高く、テレビやスマホでも再生しやすい。
- RTX3070はハードウェアエンコード(NVENC)に対応しており、処理が非常に高速。
- AV1
- H.265よりさらに20〜30%程度効率的で、同等画質でより小さいファイルサイズが得られる。
- RTX3070はAV1エンコード非対応。CPUによるソフトウェアエンコードのみとなり、非常に時間がかかる。
- YouTubeやNetflixなど大手配信サービスが採用。将来的には主流になる可能性が高い。
使用できるソフトウェア(無料)
H.265向け
- HandBrake
- GUIベースで簡単。H.265(NVIDIA NVENC)出力に対応。
- FFmpeg
- コマンドライン操作で高度な設定が可能。
hevc_nvenc
を利用。
- コマンドライン操作で高度な設定が可能。
- Shutter Encoder
- GUI派におすすめ。FFmpegベースでNVENCも利用可能。
AV1向け
- FFmpeg(libsvtav1)
- ソフトウェアエンコードだが高画質・高効率。
libsvtav1
を指定。
- ソフトウェアエンコードだが高画質・高効率。
最初から組み込まれたビルドGyan.dev FFmpegビルド(Windows用)を使うと簡単
- Fast Flix / Shutter Encoder
- GUIでAV1対応。内部的にFFmpegを利用。
実際の設定例(FFmpeg)
H.265(NVENC、高速+高画質)
ffmpeg -i input.mp4 -c:v hevc_nvenc -preset p5 -cq 23 -rc vbr -c:a copy output.mp4
preset p5
:画質と速度のバランス(p7にすると高画質・低速)cq 23
:品質目安(小さいほど高画質・大容量)
AV1(SVT-AV1、最高効率だが低速)
ffmpeg -i input.mp4 -c:v libsvtav1 -preset 6 -crf 30 -c:a copy output.mkv
preset 6
:速度と画質の中間設定crf 30
:品質目安(小さいほど高画質・大容量)
長編動画を保存する場合の最適解
- H.265 (NVENC)
- 処理速度が非常に速く、長編動画のエンコードに最適。
- 画質も十分で、保存用として実用性が高い。
- AV1 (ソフトウェア)
- 圧縮効率は高いが、エンコード速度が遅すぎる。
- 保存効率を極限まで追求したい場合のみ選択肢となる。
まとめ
- 日常的な長編動画の保存には H.265 (NVENC) が最適
- AV1 は効率は高いが、RTX3070では時間がかかりすぎる
- RTX40シリーズ以降にアップグレードすれば、AV1の高速ハードウェアエンコードも現実的に
現状、私の環境では「普段はH.265 NVENCで保存し、特別な作品のみAV1でエンコードする」という運用が最もバランスが良いと感じています。
長編動画の保存や圧縮に悩んでいる方は、まずはH.265 NVENCを試してみることをおすすめします。AV1は将来性が高いですが、現状はCPUエンコードでは長編には非現実的です。
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